今日はセル店さんについて少し。
ビデオ安売り王から始まって10年以上経ちましたが、セルショップは
二種類のタイプに変わりました。
町のプラモデル屋タイプと本屋タイプです。
(ここでいうプラモ屋とは昔町に多くあった古いプラモがたくさんあったお店で、
買取仕入れとはあまり関係ないですが仮に買取仕入れタイプとします)
以前はすべての商材が買い取り仕入れだったので、
すべてプラモデル屋さんタイプでしたが、
現在は委託販売による無償仕入れが主流になりつつあり、
大手ショップや新規店は書店のように、委託仕入れを採用しています。
これは、問題点もありますが今後主流になるでしょう。
今回はプラモ屋タイプの問題についてです。
このセル店さんは現金仕入れによる独自性や、仕入れ値の安さ(現金は仕入れが安い)
により、独自の仕入れ眼で特色を出してきました。
セル勃興時にいろいろな商材で特色があったころのお店のスタイルです。
少数のエキスパートによる仕入れ能力に頼ってきたことから、
長く続けているうちにじわじわと不良在庫が増えてしまいました。
この不良在庫、本当はある一定の期間が過ぎれば、特価売り切りか、
廃棄すればいいのです。
ビデオやDVDというのは腐らないので、いつ捨てていいか、セルショップの方では
判断ができません。
まぐろの刺身と違って、仕入れてしまうと捨てられない。
特価売りすると、お客さんが特価目当てで買い控えをするようになり、
結果売り上げが落ちたりしてしまう。
腐らない以上、DVDメディアが続く限り10年でも棚に並び続けます。
これが圧縮陳列可能なDVDの特性もあいまって、消費者には至極見つけづらい
棚にしてしまいました。
DVDは面陳列には強くても、背陳列には向いていません。
書店の文庫本のように背表紙が色分けされていればいいのですが、
書店で言うと漫画コーナーのようになっています。
ジャンプコミックスとか、サンデーコミックスとかいうわけ方ならまだいいのですが、
実際メーカーが多すぎて、整理も見分けも付かなくなってしまう。
メーカーも圧縮陳列できるもんだからガンガン出して営業が勝手に並べ替えたり。
だから一定の期間が過ぎたら、買取在庫は損金処理して廃棄し、
棚卸しして面陳や平置きを企画して、見栄えのよい陳列にする必要があります。
ウチではジャケットが日焼けしたり、よれたり、そういうものを基準として考えますが、
これができないと古いプラモデル屋さんよろしく、埃をかぶった
城、F1、飛行機や戦艦などいつからあるのかというものがそのまま残ってしまう。
委託は問屋さんが勝手に引き上げていくのですが、現金仕入れとなると
ショップさんの資産になってしまうため、宝物と考えてしまうのか、
処分ができなくなってしまう傾向があります。
街角の古いプラモデル屋さんが下校途中の小学生の道草場になっていたのは
よく覚えていますが、そういうお店が巨大なチェーン店になったり、
行列ができて大成功したという話を聞いたことはありません。
行列ができたのはガンプラブームが起こったときです。
セルで言えば、エムズのアナウンサービデオのようなエポックな商材が
出たときに限ります。自立的成功ではなく、こういうすごい魚が取れた時おこぼれに
預かるだけで、メーカーの仕掛けに乗っているだけです。
ガンプラブームでダラダラしているうちに、プラモ屋はトイザラスやホームセンター、
ヨドバシカメラに食われてしまいました。
セルもそうなりつつあります。
札幌の超巨大なセル店http://www.coachandfour.ne.jp/
のお話を聞きましたが、ここの検索システムがいいそうです。
高円寺図書館にいくと、同じようなシステムがあるのでよく分かりました。
すなわち
探したい本を図書館内のPCで検索すると、
図書館内の何階のどの棚にあるか、現在貸し出し中か、
なければ杉並区内のどの図書館にあるか、ないか、
すべて一括検索できて、ついでに地図をプリントアウトできる。
棚になければカウンターで注文して、他の図書館から取り寄せてくれる。
浦安図書館なんかでは、一週間ほどで購入してくれる。
こういうシステムを取り入れたセル店さんだそうです。
これなら圧縮陳列のデメリットも、巨大店舗のデメリットも解消できますね。
こういうお店が出てきてしまうと、中小ショップさんは非常に苦しいと思います。
(入店をはばかるようなマニア物なら別ですがそういう店は何店舗も必要ありません)
古い商品を置いておくのは宝探し的な要素があるので一概に悪くはないですが、
セール広告もしきれないほどの買い取り在庫を何年もたなざらしにするのは
商売としては前向きではないように思います。
ほしいお客さんが気づかなければいかにレア商品といえど永遠に減らない。
そこを定期的にあけて売れる商材、新作をどんどん入れて、まわしていくべきです。
棚に面陳出来ないほど不良化してしまうのであれば、
委託にしてしまったほうが、ロスを減らせると思います。
株と同じで買ったものが下がってしまった時、塩漬けにして何年も待ち、結局
全部ロスカットか、
さっさとセールして損きりし、あがりそうな株や債券、為替等に乗り換えて鞘をとるか。
余剰資金なら塩漬けもありですが、投機的に売り買いして生計を立てる場合、
機動的にどんどん動いていかないと全部ロスしてしまいます。
少し例えが強引ですが、お金という資本をDVDという商材に替えてその鞘を取る仕事が
セルショップですから、安く仕入れるところばかりに気を取られて、キャピタルゲインを
失ってしまっては元も子もないわけです。
メーカーが上場銘柄や投機商品だとすると、問屋は取引所や証券会社
セルショップはそれを買う投資家ということになります。
いわゆる
勝てるとき以外信用買いはするな(借金経営)
雑誌がはやした商法に乗るな
周りと同じことをするな
常に勉強しなさい
わからないものに手を出すな
負けて当たり前、負けを最小限にして最後に必ず利益を確保すべし
小さい種で多銘柄百貨店ポジションは持つな
逃げ足を早くして、偏っても大きなポジで鞘を取るべし。
読み違いポジをロスカットできないのなら投資するな
結構経営にも当てはまると思います。
店舗は税制優遇もあり、陳列や客寄せで自力で業績を左右できますので、
よほどのチャンス以外、実業をきちんとやったほうがいいと思うのです。
借金経営と無借金経営についてはまたやりますが
お宝か、売れ残りか、その在庫にシールを貼ってみましょう
ビデオマックス西新宿店、調布店のでミルキーセールは9月までです。
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