メーカーと制作会社の違い
AVというのは珍しいくらい外注だらけ産業です。
店舗:問屋:メーカー
この中で「メーカー」はほとんどが外注かもしれない。
女優ダクション:デザイン;印刷:プレス:審査:ネット関連会社:撮影制作
撮影制作はさらに細分化されます
メーカーは自社で撮影をすることはあまりなく、
ほとんどが制作会社に委託(外注)します。
理由はテレビや建設会社と同じなのかもしれませんが
慣例ということで片付いてしまう。
実際は節税という面が大きいのでしょうが。
この制作会社がまた外注だらけ。
そもそも「メーカー」を作るのは非常に困難です。
あまりズバズバ言うと怒る人がいるので、
運が重要、といっておきましょう。宝くじに当たらないと
メーカーをやっていくのはほとんど不可能です。
宝くじの当て方を知っている人だけがメーカーになれます。
制作会社は、コレに対して簡単です。
どこかの会社に何年か丁稚奉公すれば、あとは景気次第。
撮影ノウハウとスキルがあれば、あとはお世話になった会社や
メーカーに撮影を分けてもらう営業ができれば、
監督兼社長の出来上がり。
AV監督が独立して会社を立ち上げる場合、ほとんどは
このタイプです。
一部メーカーもありますが、実際はメーカーという建前だけで
制作資金と流通を親メーカー系の問屋に独占委託されて逃げられず、
金玉を握りつぶされていることが多い。
見栄っ張りの人は何といわれようと「メーカー」と言い張りますが、
実態は制作会社なのであります。
そういう感じなので、制作会社というのは、メーカーの出先請負をしている
プロデューサーと仲のよいところに落ち着きます。
というかそれがほとんどすべてかも。
監督とプロデューサーの意思疎通がスムーズで、
とった作品が黒字で回っていれば、そのメーカー、制作双方にそれ以上の
人間ははっきり言って、「必要ありません」
あとはすべて外注できるからです。
この「営業力」と、丁稚奉公時代から培われた「人脈」こそが
制作会社の財布のヒモであり、それだけあれば
誰でも制作会社になれます。
これにはあまり「運」は関係ないですネ
制作会社というのは制作機材を全部持っているような
ところはまれで、大体レンタルです。
照明会社:編集スタジオ:カメラレンタル:ビデオカメラマン
スチールカメラマン:衣装レンタル会社:男優:エキストラ
大きなところは音声録音まで外注
ほとんどの場合、コーディネーターがいるので
誰かが束ねることが多く、外注のように見えませんが
実はすべて外注です。
たまに丁稚のADが社員でいます。
ビデオカメラ、その辺で売ってるじゃないか、という方もいるかも
知れませんが、ヨドバシで業務機は売ってても、業務用の
三脚は売ってない。これがミソ。
その辺の三脚じゃ、ぶれてしまって使い物にならない。
制作会社は、撮影をして、モザイクのない状態で
素材をつなげて作品にするまでです。
女優のキャスティング、ジャケットの制作、モザイクいれと審査は
メーカーの仕事です。
ジャケットの撮影は女優の拘束契約があるので
撮影日にすることが多いのですが、その際もメーカーの人間が
目を光らせます。
ですからジャケット、モザイク、審査はメーカーの専有事項です。
ビデオ撮影自体は、「丸投げ」です。
これは、監督に職人気質の人がおおいのと、メーカーの人間が
委託先を信用できずにあれこれ口を出したらやりづらい、
のが理由でしょう
でも実は、お客さんなら本当の理由、お分かりでしょう。
女優、ジャケット、モザイク。
AVの売り上げの80~90%はココで決まります。
あとは企画ですが、ぶっかけやSMなどNGがきつくギャラが
高騰する場合はメーカーがあらかじめ決定します。
したがって、カネのかからない企画、コスプレ、巨乳、
こういうのは制作会社が自由に決められますが、
たとえば、「ぶっかけ」だと、人数、メニューあたりはすでに決まっていて、
どういう風に配分するか、とかそういう部分をいじれます。
カネのかかりそうな決定はできません。
ですから、売り上げを左右する決定はすべてメーカーの
ブラックボックスになっています。
コレが何を意味するかというと、
いったん制作会社になったら、メーカーとして売れる作品を
作っていくことは経年比例的に不可能になる
ということです。
キャストやジャケットで売れるか売れないかの「目利き」は、長い時間をかけた
経験やマーケティングが必要で、
「ちょっくら営業して取ってくるわ」
「友達に聞いてくるわ」
というわけには行かない。
メーカーとしてはそういう他意はないのでしょうが、
制作会社がどんどん商売に対してぬるま湯になっていって、
独立自営心が失われていく構造になっています。
汁王さんが業界に入ったとき、この構造に真っ先に危機感を覚えました。
「制作会社になったら、作りたいものが作れない」
「制作会社は実際メーカーに財布の紐をしっかり握られている」
「メーカーはそれを気づかせないため、見栄っぱりの、いい気になりやすい制作を好む」
で、最近の「梯子外し」がおきたのです。
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