逆イールドの話
昨日銀行の人と話をした。
景気悪いですね~といつもの話。
と、逆イールドのことを言うと、知らないという。
銀行の人も知らないんだろうか?
この逆イールド、景気を占えるので知っておいたほうがいいですよ。
逆イールドの前にイールドカーブを知らなければならない。
イールドとは金利のこと。
国債の長期金利をイールドといい、
そのグラフをイールドカーブという。
国債は今日本のトピックです
要するにこれは景気の先行指標という話です。
イールドカーブは短期金利(公定歩合)と
長期金利(大体10年もの国債)の
利上げのグラフの差です。
普通は短期金利よりも長期金利のほうが
高いのです。だからイールドカーブ。
公定歩合を上げると長期金利が下がり、
公定歩合を下げると下がる。
要するに公定歩合は銀行の貸し出しのほかに、
国債の金利でも舵の役目をします。
たとえば今の日本は長期金利(10年もの国債)の
金利が上がると(限界は確か4%)毎年の利払いが40兆円
になってしまい、一般会計の税収をすべて食い尽くすので、
ゼロ金利政策を変更できない。
金利を上げようものなら、財務省からものすごい圧力を受ける。
(2005/3のゼロ金利解除でもめたのはご存知の通り)
中央銀行が金利調節をできないのは異常ですが
景気よりも政府が即死する金利のほうが怖い。
景気がいいと利上げしないとバブルになる。
低金利不景気のほうが借金まみれの政府に都合がいい。
自民党と財務省にとっては不景気でないとまずい。
消費税を上げてもっと景気を悪くしないと。
もはや税収国益は無関係に低金利ヒステリーとなる
近視眼的お役所
という話に筋が通ります。
ところがバブルの破裂などで短期金利が急落すると
これが逆転したり、
バブル中に公定歩合をいくら調整しようとしても、
まったく別の動きをして、舵が効かない状態になることがある。
こういう状況で長期金利が下がるというのは、
10年もの国債がたくさん買われると言うこと。
株が高くて景気がいいのに、
むしろ株が高すぎてもう買えなくなり、
金利が低くて儲からなくても10年もの国債がバンバン買われる。
これが逆イールドです。
日本では政府が半ば音頭を取って、郵便局や
銀行に国債を買わせたり、個人向け国債を無理に売りさばいたり
するので、国債が売れずに余るということはない。
国債が売れないと、よく売れるように
自動的に長期金利が上がってしまう。
金利が暴騰すると、利払いができない。
売れ残って金利が上がるようなことは断固あってはならず
かといって外国に売って売り浴びせされるのもあってはならない。
だから政府の言うことを聞くメガバンクや郵貯が
無理に国債を買っていたりするのです。
これはアメリカの国債も同じで、日本と中国が貿易黒字を使って、
アメリカの景気が失速しないよう国債を買い支えるのと同じです。
この国債も日本の国債も、景気と政府の下支えなので
買った人は自由に売ることができません。
だから外国が国債を買うアメリカで特に顕著なのですが、
エルニーニョのように、逆イールドが起こると景気が悪くなる
といわれています。
なんとこの予想、100発100中です。
2000年のときは占いじみています。
ブッシュ政権と911での後退を予言したようで、なんか変ですが。
しかし2005年はわかりやすい。
グリーンスパンは金利調整の神様といわれていたんですが、
彼がコナンドラムとか言ってましたが、
神様にとっても舵が効かない不明の動きをしていて、
逆イールドが話題になったことがありました。
当時の記事を読んで見ましょう。
http://www.breakscan.com/usmw/archives/2005/1229.php
当時住宅バブルの最中、資源バブルの直前です。
このときは長い。それが長いし、アメリカのバブルの前から続いたせいで、
景気は後退しないと言ってます。
グリーンスパンも長い間言い続けてます。これは願望?
アナリストは本当にいい加減ですね。
一年ほどたつとトーンが変わります。
http://www.breakscan.com/usmw/archives/2006/0213.php
2006年3月から、サブプライムの話題が出始めました。
さすがにやばい。けど今度こそうそだろう。というトーンです。
で、2007年から為替暴落に端を発し、2008年のバブル崩壊につながります。
上の記事で98年の為替危機は例外と書いてありますが
(ITバブルも例外か)
アメリカのバブルは大体当たります。
2000年ごろから、ジンクスや風説を気にして、バブルが崩壊しないよう
いろんなことをするようになったので、
現出するのが遅くなったといったほうがいいかもしれません。
その分下がるときの影響は甚大です。
2005年の逆イールドに関しては、その後バブルが頂点ですし、
2008年の原油高騰までは、誰も終わるとは思えなかったでしょう。
2008年4-8月期の原油先物高騰に関しては、
3月に公的資金注入を受けた米の投資ファンドが、
こともあろうにその公的資金を使って原油に大博打を
打ったといううわさがあります。
本当なら3月にはすでにバブルは崩壊していたわけです。
グリーンスパンさんもこのときのうそと言うか、願望が元で
今年の頭だか呼び出しを食らってますね。
逆イールドに逆らったら、手ひどいしっぺ返しを受けるし、
信じて空売りをしようものなら、さらにひどいしっぺ返しを
受けるということでしょうか。
逆イールドが出たからといって、2005年に全力空売りをかけた人は、
速攻樹海行きでしたから。
よほど自信のある人はかけてもいいと思いますが、
生涯一回の大勝負にするか、
やめるきっかけぐらいにしておいたほうがいいですネ
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コメント
本論とは関係ないですが、補足です。
「公定歩合」は今も存在しますが、ほとんど使われていません。
(名前も「基準割引率および基準貸付利率」と変わったらしいです)
金利自由化で公定歩合は重要性が薄れました。
今では銀行が中央銀行から直接お金を借りることはほとんどありません。
借りようとすると「あの銀行は危ない」という話になってしまいます。
リーマンショック後の金融危機では当局指導の元、全銀行に強制的に借りさせました。
かわりに、政策金利として、短期金利の誘導目標が使われます。
日銀の場合は無担保コール翌日物金利の誘導目標、FRBの場合はフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標というやつです。
公定歩合はこいつにプラス0.5%とかになっています。
2007年8月の株価急落の時は、バーナンキ議長が、FFレートを変えずに、公定歩合だけ下げるという変則技を使いましたが、かえって混乱しました。
投稿: さの | 2009年11月26日 (木) 00時22分
さのさん
補足ありがとうございます。
短期金利と言ったほうがよかったかもしれませんが、
この話は簡単に話すのがしごく難しい。
アメリカは30年債までありますので
日本との違いを言うのも難しい。
公定歩合は実用されていないのですね。
FFコールとか、いろいろありますが、
紛らわしくされると困りますね。
逆イールドを理解するのに自分も
かなり苦労したので、細かいところは
かなりあいまいです。
まあ先行き景気の指標のひとつということで
興味のある方はいろいろ調べてみてください。
私も経済詳しいわけじゃなくて、
自分で調べただけですから。
銀行の人も、結構知らないんですよね。
新作の画像がすすまないので変な
トピックばっかりで、すいません。
投稿: 汁王 | 2009年11月26日 (木) 00時37分