DVDたくさん作るともうかる?
先日の記事で、DVDを作りすぎるとよくないみたいに書いてますが
現実はそうでない。そっちのほうが儲かるということです。
その補足をちょっと説明。
また嫌がられるかな(笑
VHSビデオは作れば作るほどコストがかかるので、大量生産は無理でずっと高価格だった
DVDは宿命として量産しないといけないので、生産が続けば続くほど物量が増えてくる=価格下落圧力が増す
だから無駄うちをやめてうちは数を絞っている
結果として中古やソフトの劣化はないけれど、売り上げ総数の純減と
他社の同ジャンルでの価格下落圧力がすでに10年以上続いているため
高価格の商品は本当に作るのが大変で、コスト高なのに価格下落圧力が
つよいと、趣味でないと作れない分野になってきた。
したがってザーメンもので高価格で押すとすぐ売れなくなる。
低価格で押すとまじめに作ると法外な制作費がかかって赤字体質になる。
一番破壊力のあるのは女優ものになってくるがこれも赤字体質になりやすく、
2,3回失敗するととたんに赤字となる。
マニアメーカーだけでなく一般メーカーにも厳しいわけで。
だから最近ザーメンものの制作請けをすると欝になったり手間ばかりかかってギャラ同じとか、
制作側の負担が増えてきた。
高価マニアック系はジャンル自体の衰亡が激しいので、問屋も店も売れなくなったら
すぐ放置してしまう。
かといって大きく押してもジャンル自体が衰亡しているので伸びない。
結局高価格だと売れないし低価格だと赤字の脅迫に悩まされたり、
女優が目当てなのかマニアックな企画映像が目当てなのか両方のお客さんが
ごちゃごちゃになって、結局分野事態が混乱
それだったら、有名女優で普通にちょい企画に振って
イベントで売っちゃったほうが製作コストも手間もかからず毎日撮影できるから
利益がでやすいよね、
と考える。
で、撮影上量産が効かないザーメン物が減っていくという流れになります。
マニアものや企画もので残っているように見える場合は、大手がそのジャンルを
侵食していないからで、すぐ焼け野原になる。
大手が作ってないから隙間だと勘違いして作ると、
お客さんがいないので逆に売れなかったりする。
あやふやなジャンルには手を出さないほうがいいわけ。
ザーメンものに限らずマニア物や企画物が減るのはこの顧客の傾向が
大手から見ても鮮明になってくるころからです。
大手さんというのは部署がばらばらで、それぞれあがってくる数字だけみて
ものを話すので、顧客の声も届かないし顧客の傾向やニーズを数字で図ることしか
できないので、実態把握まで赤字体質を続けてしまいがち。
コストと数字を見て、いきなり制作費を減らすので
いつもあるあるとおもっていたら突然ジャンルが寂れていた、という
ことが起こると。
じゃあ低コストでパコパコを撮るか、となる。
パコパコものなんてもはや毎日量産されつくして
それこそAVの棚をぎっしり埋め尽くして売れるはずもない、という分野です。
女優のファンだけが頼りのこれはこれで線の細い分野。
どうするか。
まず女優を抑える。
次にたくさん作る。とにかく作りまくる。
枚数を増やす。このとき、いかにDVDプレスを安くするかがコツです。
委託総掃率がおおむね10%(5000枚作って500枚)でも売れればOKというところまで
プレス代を落とす。
工場を持っていればもっと安くできる。
それで、撒くわけです。
あまったらレンタルにまわす、アウトレットに回す、なんとかしてまわす。
さらに捨てる、とやれば、毎月出せばそれなりに10%前後の利が取れる。
もっと景気が悪くなって、5000枚作っても500枚でなくなった。
そうしたら、さらに低コストで撮影をかまして、新作を増やす。
3%までおちても3タイトルで9%取れる。
それもだめなら総集編
それもだめなら誰かが作ったものを買ってきて、つなぎ合わせてわけわからんフランケンオムニバス
それだけでクレームがきたら適度に新作と混ぜてわかりづらいように
やろうと思えばいくらでもできる。
もうすでに市場が荒れてお客さんは安くないととか、女優がとか
条件付でないと買ってくれないなら、
お試し感覚やくじ引き感覚でやっても売れる数は一緒になっていく。
ここまでくるとデータリサーチ側が勝利してきて、ビューロクラティックに新作が
決まって、ストレスを抱えながら制作が作り続ける
で、予算減らされて自分の部屋で撮る羽目になる。
女優のつなぎがケチられてのまず食わずで朝から晩まで馬車馬のように働かされる
どんどんスパイラルになってくる。
で、撮影そのものをしなくていいよ、と総集編にさらに振られる。
大きなレバレッジをかけてDVDを量産しまくっているから、
ある日突然巨大な在庫に気づいてこれなんとか処分しようか、となって
いきなり廃盤。
利幅だけ考えるとこの商売というか、顧客を数値化したほうが儲かるわけです。
商品に夢をもったお客さんやメーカーが何をいってもみんなすさんでいるので
むしろ夢を持つと消耗するだけになってしまう。
どっちがいいかというと、私はどっちも正解だと思います。
お客さんが求めたものを作るのがメーカーの存在意義である以上
夢のある嗜好系高価格よりも、
一夜の消費くじ引き的商品のほうが時代と消費者のニーズに合っているなら、そうすべきと思います。
みんながiphoneほしいのに革命的、今までになかったスーパーハイスペック
”ガラケー”をいくら押し付けても見向きもされないのと一緒です。
ガラケでないとだめな限られた市場に縮小するのが、まあまあ正攻法でしょう。
一部、どうしても夢が捨てられない熱心なお客さんがいます
それは、過去作の追加プレスを祈願する一握りの数に等しく、ビューロクラティックに
無視しないとそれこそ不良在庫になる。
流れの止まった業界というのはまさにこれで、
今のスマホや携帯ゲーム、Lineがそうですが、
流れというものがあれば、商品に問題があろうが殿様商売であろうが、
発展途上品であろうが売れまくる。
ブームが去った後に、あれ欠陥品だった、というものだけが叩かれる。
でも欠陥品もできのよいものもちゃんと売れている。
今の国産スマホやガラケのようなのが、流れの止まったもの。
とにかく限られた需要をもとにこまこま作るしかない。
やめるにやめられない
いつか上向くときも来る
そういう感じになります。うちもそんな感じ。
好きじゃないとやってられないジャンルです。
そういうわけで実売実利でも生産量を絞るタイプと、
とにかく数字で量産傾向にあるやりかたで一長一短あるが
うちがやらないのは量産タイプだと、おうおうにしてきちんと在庫管理ができなくなるからです。
中途半端にやると、お店が倉庫代わりになって何年も回収しないとか
積みあがった在庫を捨てられず、いつまでも引き受け先を探すとか
そういうことになってしまいがちです。
9割引でも売れないんだからあきらめればいいのに、あきらめない。
えてしてこうなって、在庫の山に埋もれて死んでいく。
高度経済成長期によくあった笑い話で、甘い見積もりではじめて
計算の間違ったちょい欠陥品ができた
でもロットが多いからはやく売らないと
ふたを開けてみたら良質なライバル品が1、2、3で市場を席巻。
自宅がちょっと欠陥のある大量の在庫で積みあがって手元の借金の明細がアップ。
それに火をつけて首くくる
そういうドラマを地でいくことにになります。
お客さんとしてもなかなかリクエストどおりに物が進まないとかあり、
いろいろリクエストや質問もいただきますが、
売れないのにその人の代わりに借金してまで
オーダーメイドAV作る、というタニマチ的メンタルや流れはもうない。
リーマンショックで大暴落中に借金して買いを入れるようなもので恐ろしくってできない。
そんなにみたいなら申し訳ない、ご自分で作ってください。といいたい。
でもこれ言うとものすごい叩かれる。
だからあしらいの上手なメーカーは一切説明しないで好感度上昇だけに徹します。
逆に言葉だけでも、”わかりました、やりましょう!”とちょっとだけリクエストに
答えてなんとかがんばって作ればむしろ何回かは買ってくれるかもしれない。
はずれと叩かれようが、何であろうが黙ってまた作る。
なにしろ予算がないし借金したくないメンタルは同じだから想像どおり豪華になるはずもない。
力いたらず申し訳ございません、がんばります!というのはまだまじめなメーカー
何も気にせず、大ヒットのあの作品、またリリース!とやるのが
うまいやり方です。1000回も言えば何人か勘違いしてくれるでしょう。
なんでもそうだと思いますが。
今の業界のメンタルは押しなべてこれなので、むしろそれに反対する
うちのようなメーカーは頭おかしいんじゃないか、と思われているでしょう。
本当のこと言っちゃうからお客さんもよく失望させてしまうかもしれない。
あんなの適当になだめてうまく乗せときゃいいんだよ、と陰口を言われているかも(笑
何しろ好きでマニアックを作っているから仕方がない。
マニアって、そんなもんじゃないですかね。
普通と違うからいいんであってね。
| 固定リンク
「経営、税金 Company」カテゴリの記事
- スタッフ募集のお知らせ2020版(2020.08.26)
- Price Change by Tax issue消費税10%価格について(2019.09.25)
- つなぎ融資成功(2016.08.04)
- 業界のクリエイター三種。しかし法の前に皆無力(2016.04.24)
- 火事場泥棒(2016.04.21)
コメント