アダルトDVDショップはどうなるのか
アダルトショップの動きに元気がない。
景気自体がよくなっているのに、うちの周りでも閉店がぼちぼちある。
店舗にとっては、将来残るのかどうか、残ってほしいという願望が優先されがちで
何らかの形で残る、と思う人が多い。
すこし冷静に考えてみましょう。
店舗販売の実績自体は右肩下がりではあるが、売れている店舗は売れている。
ただし売れてない店舗が圧倒的に多い。
8対2くらいに近づきつつある。
売れてない、といっても質の問題を無視しては語れないので、
ここで売れない店舗というのは、純粋に売上金額が低い店舗をいいます。
要するに1000円の商品が月に2枚ぐらいで売れてますと言い張るものの
月末にはキャッシュが足りないという店舗。
いやどの店舗もキャッシュは足りないのだが、足りないというレベルが違う。
売れている店舗でキャッシュがない時は、中古の買取をしすぎていることがほとんどでしょう。
で、アダルトビデオはどうなるか、という話だけど、
委託システムがある限りは生き残る。
委託システムが維持できなくなると、消えていかざるをえない。
それはメーカーが新作を毎月コンスタントに供給できなくなることを意味します。
そうすると店舗は困るのか?困らないというお店が多いと思います。
では問屋さんが流通を維持できなくなったら?
いきなり問屋さんが倒産すると、影響は計り知れませんね。
長い目で見ればこれも新作の供給が止まることを意味するので、店舗はいずれ困るでしょう。
したがって今の”毎月コンスタントに委託販売で新作を発売する”という仕組みが
維持できなくなった時が、DVDの終わるときです。
今の委託システムは著しく店舗と問屋有利に作られています。
売り上げを見込んで、メーカーが前払いで商品を作っているわけです。
売り上げが経費を下回ると、首が締まります。
従って外注制作が減っていて、監督やスタッフ、女優男優に至るまで仕事がないか、
少人数の小仕事になってきています。
もし店舗が昔のように商品を買い取りでないと仕入れられない、となったら
立ち行かなくなるところがほぼすべてでしょう。
メーカーがこうも爪に火を点すように制作をするのは、問屋の影響力がメーカーより
大きいから成り立っております。
そして3社ほどの問屋を傘下にする大手メーカーに外注制作が集中しています。
メーカーと問屋が資本一緒のところはなんとかやっていけていると。
ではそうでないところは?
ヤケ酒をあおっているとうわさでは聞きますが。
そういうわけでメーカーも乱立しすぎておかしくなっていて
販売するには問屋と不平等条約まがいの契約をしないと販売できない、という
思い込みが支配しております。
業界のコンセンサスは、
流通を持ってないメーカーがやっていけるわけないから問屋主導で契約をしないと成り立たない
です。
ではメーカーが問屋から自立することができたらどうなるか?
業界の常識ではいまやあり得ないことですね。
でも今やかなりの数のメーカーが、制作と同じように問屋の奴隷になっています。
大抵売れる売れないにかかわらず、毎月決まった数の新作を納品しないといけない契約が基本だからです。
(もちろん数が多いので出すものすべて売れて売れてしょうがないという人もいるでしょうが)
だから売れなくなると低予算や再編集や総集編がどんどん増えてきます。
総集編を回避するには徹夜で撮りまくらないといけないとか。
メーカーの下請け制作はもっと悲惨で、あり得ない予算で本数だけ確保しろと命令がいくので
正直質なんてこだわっていられない。
いいものだろうが悪いものだろうが、今はどれも売れないから、真面目に作るだけ損になっています。
下請け監督の実績としてはある程度売れてくれたらいいのだけど、
時給ゼロに近い感じで徹夜続きで自分の命を縮めてまで無茶な制作をするぐらいならやめたほうがいいし
この作業限界が今のところほぼ下限です。
時給でいえばアルバイトのような賃金で制作してやっと供給しているメーカー制作が多いでしょう。
女優さんが安くやってくれるようになり、すこし持っていますが、これもいつまで続くかわからない。
キャバクラより儲からなくなったらデリやキャバに鞍替えしたほうが遥かに楽です。
うちとしても値上げで文句を言われるよりは、制作や女優さんになるべくギャラをきちんと支払うほうが
いいと思っているので、遠慮なく値上げしました。
理由は長いので省きますが、結局いくら我慢してもいつか値上げしないといけないからです。
いくら安く作っても、値切っても、いずれ値上げしないといけないんだから、無駄な抵抗というものです。
なら少しでも制作環境をよくしていいものを作ったほうがいいでしょう。
今の店舗の売れない、の言葉の裏にはこうした劣悪な契約、制作状況があります。
問屋だけおいしい思いをして、店舗もメーカーも儲からない
店舗とメーカーは売れないと儲からないから、購買力が落ちているというのが現実です。
(現実は各々がそれぞれ自分以外だけ儲かっていると思い込んでいます)
話を戻します。
メーカーが問屋から独立したらいったいどうなるのだろうか?
もはや一部の店舗でしか販売しない、という形態です。
というか店舗販売を全廃すると言ってもいい。
これでやっていけないと思うのが今の常識ですが・・・
でもいずれそうしないと、いけない時が来るように思うんです。
店舗と同様に、メーカーも淘汰の時代を迎えるかもしれないということです。
メーカーのネット販売は今のところあまりよくないです。
うちもあまりよくないです。
少なくともDVDをやめてやっていけるほどではないです。
というのはネット会員というのは値上げしづらいので、小粒でやっていくことになります。
携帯電話と同じで、6000円を超えていくと厳しいでしょう。
ネット会員サイトは、ボリュームのあるところほど歴史が長く、安いという矛盾があります。
本数を前面に出すところは、駄作も多かったりします。
店舗のように百貨店化すると、サイトの売り上げがなぜか下がるというジレンマがあります。
その辺の可愛い子が絡むだけのコンテンツはそんなわけで売れないでしょう。
そしてここでも常識とやらが頭をもたげ、ネット配信大手におんぶにだっこ、という形式が生まれます。
携帯コンテンツの大きなサイトがありますが、売り上げはものすごいです。
でも、コンテンツは自分で作っていません。
100%借り物か、無料でもらってきたものです。
メーカーは光は見えるのに、自分で目隠しをしているという感じです。
そうなるとうちなんかをなじって、「おたくは特殊だから」というわけです。
特殊なわけないですよ。
制作費はよその倍以上かかるし、ぶっかけもごっくんものも今や単体女優のDVDが格安で
販売されています。
かなり熾烈な競争を強いられているんですよ。この15年間。
特殊だと簡単にいうなら、お前やってみろと言いたいですよ。
特殊であれば売れるというのは大きな間違いで、かように考える人がほとんどだから、
みんな特殊なものなら売れるだろうと思い、何年かおきにおっぱじめます。
”その辺で手に入らないコンテンツ”があふれることになります。つまりマニアフェチSMのへんなやつ。
唾どんぶりとか、ひざの裏コキとか、歯の裏のカスを食べる、陰毛マニアとかですな。
大体マニアものを小ばかにして特殊なら売れんだろと考えるくらいだから、
おおむねその場しのぎの思い付き、あざとい、わざとらしい、独りよがり、になります。
はい、みんな
「こんな気持ち悪いもの作ってらんねぇ、買う奴は馬鹿だろ、変態だなぁ」
と思いながら作ってますよ。
口ではマニアを極めるとか言いますがね。
だから二年ほどして収束します。
この心理はカメラの斜め撮りとか、左右へドンブラコドンブラコと同じです。
みんなこれが素晴らしいと思ってやっているわけで、治りません。
真面目に考えるだけ無駄です。
(放尿とかポーズとカットにこだわってガニマタのけぞりにこだわるほどつまらなくなるのにやめない)
それでもたまたま頑張って極めたものが出るとします。
ところが今後は極端にサブミッシブなものは規制対象になります。
セルでいえば、尿やら野外ものやらが幅を利かせて、挙句はバッキー事件へとつながりましたが、
ネットではそこまで行く前に公開禁止で、ドメイン停止になるでしょう。
ようするに安易に特殊に走ればいいというわけではなく、
ネットのリクエストなんて真に受けていたら最終的には人殺しになるということです。
特殊、言うは易し、行うは難し、続けるは酷し、極めるは惨し。
そういうわけでメーカーはまともにAVを作り続けられない状況に陥りつつあります。
では店舗はどうか?
店舗も同じようにAV以外で売れるものを探すことになります。
これも結構難しい。
業態替えをしたほうが早いかもしれない。
うちは店舗はやってないので、正直この問題に答えが出せません。
ただ委託システムを当たり前と思っていたら、かなり厳しいと言えるでしょう。
メーカーの体力がほぼ限界というのは、明らかになりつつあるからです。
うちは○○のお客さんがなぜか増えているので、こちら方面をもっと伸ばそうと思っています。
(この○○を言うと、”特殊”とまた言われるのでお話ししません)
メーカーも店舗も生き残り方はそれぞれ、という時代になるかもしれないです。
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